推しがいる幸せ…第94回
2026年5月4日

昔から特に何かにハマることがありませんでした。
妹やまわりの女性はアイドルの追っかけをしたり、
趣味にハマっている人もいますし、
競馬やパチンコなどのギャンブルが好きな人もいれば、
いわゆるオタク的な活動をしている友達もいました。
共通して、みんななんでそんなに一生懸命なんだろうと思っていました。
しかし今から約7年前。
Bリーグに所属する島根スサノオマジックが、
琉球ゴールデンキングスという強豪と
なんと鳥取で試合するという珍しい話を聞きました。
そしてなんとなんとチケットをタダで頂いてしまいました!
バスケットは小学生から大学までずっとやっていましたし、生でプロの試合を見たことがなかったので家族で行くことに。
その時に、自分でもビックリしたのですがボロボロと涙が出て止まらくなってしまいました。
長くバスケットをしていましたが、もちろんプロなんて異世界の話、それどころか全国大会に出たこともありません。私が現役のころは日本にはプロリーグもなく世界的には弱小、ずっと趣味の範囲でした。
しかしその時に見たプロの選手たちは私が考えもしなかった道なき道を進み職業にしているのです。
アリーナがライブ会場かのような演出、光と音の坩堝、選手のみならずたくさんの関係者がずっと、何もない時代から積み重ねてきた結果が今ここに繋がっている。
それを思うとなぜか涙が止まりませんでした。
今は群馬クレインサンダースというチームを「推し」ています。
というのも【辻直人】という選手が好きになったからです。
身長は185、運動能力も高いとはいえない、ダンクもできませんしパワーもありません。
しかし彼にはまったく別の才能、武器があります。
それは【バスケットが好き】なことです。
その結果、磨いた3ポイントは日本一と呼ばれるまでになりました。
年の離れたお兄さんが中学のバスケ部で大活躍しているのを見て自分も、と思いますがその小学校にはバスケ部はありませんでした。
なんと自分がバスケ部を作ることを決め本当に創部したそうです。
その時のメンバーの多くと共に進学した公立の中学ではなんと大阪府大会で優勝するまでに。
しかし当時も今と同じで運動能力に秀でたトップ選手とは見られていませんでした。
何かの縁で京都の名門・洛南高校に拾われます。
初めは目立ちませんでしたが1年生の終わりころから力を発揮しはじめます。
2年時には全国大会優勝、日本中にその存在を知られることになります。
続く3年時も優勝。ゲームコントロールもできパスもうまい3ポイントシューターとして全国ベストファイブや最優秀選手賞を。
輝かしい実績を引っ提げ、実業団に進みます。
どんな強豪に進むかと思われましたが選んだのはなんと万年最下位のチームでした。
しかし辻はこの年なんと新人王を獲得する活躍でチームを牽引、順位を押し上げます。
その翌年にはなんと早くもリーグ優勝を果たします。
この年はリーグ最優秀選手賞も獲得しました。
日本代表も常連、輝かしい成績を残し続けます。
しかし、東京オリンピックには出られませんでした。
予定通り2020年に開催されていれば間違いなく出場していました。
ケガや不調で2021年にはメンバーから落選、それから一度も代表に呼ばれることはなくなりました。
ここからチーム成績も振るわなくなります。
心機一転、辻は移籍の決断をします。
普通、チームの顔となるトップ選手は移籍しません。
なぜなら自分中心のチーム編成になるからです。
当時の在籍チームは負けが続き大きな変革を必要としている時期ということもあり迷走していました。
次に選んだのはまたも弱小チーム、前年度リーグ最下位のチームでした。
辻もピークを過ぎた、と囁かれる中、なんとまたしても周囲の声を覆し決勝トーナメントに進出します。野球で言うクライマックシリーズです。
この年は敗退しましたがなんと彼はまた移籍、今度は別地区の弱小チームへ。
面白いことに、辻だけが抜けたこのチームは翌年リーグ優勝を果たします。
さて、そして今のチームで辻はどうなったか。
去年に続き今年もCS出場を果たしました。

彼の行く道は必ず明るくなります。
今年は優勝も狙える内容だと思います。
誰よりも長く練習し、鬼気迫る姿はチームメイトが声も掛けられないほどなんだそうです。
しかしそれ以外の時間はいつも明るく朗らか、サービス精神も旺盛でみんなに慕われています。
オールスターでは毎年のようにネタを仕込んできて大爆笑をかっさらっています。
その様子がXにツイートされ世界のトレンドでランクインしたことも(笑)
今では彼がいないと始まりません。
そんな噂を聞きつけ、なんと吉本興業所属だそうです(笑)
こんなすごい選手の行動原理は【バスケットが好きだから】なんだそうです。
今の群馬に移籍したのも、もっとうまくなれる環境がありそうだから、だったそうです。
身体能力に劣りながらも経験と技術、駆け引きでトップ選手に肉薄していく姿。
凄まじいものがあります。
得意の3ポイントの成功数では現在リーグでナンバーワンになりました。
おそらく、高校生の頃から激しいマークに合い続けています。
相手も彼にボールを持たせまいシュートを打たせまいと激しくディフェンスするからです。
2m級の外国人選手に体をぶつけられ腕をつかまれることもしょっちゅうです。
そんな時、彼は味方を活かすプレーに切り替えることもできます。だからこそ相手はさらに迷います。
高次元の駆け引きです。
昨日のシーズン最終戦、延長にもつれる熱戦の中、その駆け引きの極みを見ました。
残り時間30秒を切る中、チームが4点差で負けている状況、少なくとも2回はシュート決めなければいけない点差です、すぐにでも点を取りたいですが相手にボールを渡せばその時点で負けがほぼ確定してしまう難しい状況でした。
辻がボールをもらいに行きます。得意の3ポイントライン上、リングに背向け走りながらボールを受けました。
しかし当然、相手のエースがディフェンスにピッタリとついています。
身長2m、NBAで活躍した経験を持つ今年のMVPも噂される選手です。
この日もすでに30点以上を取っていました。
そんな相手にピッタリとマークされ、誰もがパスを回すと思いました。
しかしボールを受け取った次の瞬間、体を反転させ3ポイントを放ちました。
相手エースも反応ができないほどの速さ、普通はこんなシュート打ちません。
入るわけがないからです。
しかし辻は見事に沈めて見せました。
ボールがリングに触れずネットだけを揺らす、これ以上ない完璧なシュートでした。
敗戦が濃厚な場面、一気に会場中が大逆転モードになりました。
そしてこの勢いでチームは逆転、最終戦を勝利しました。
外せば自分のせいで負け、戦犯です。
これがプロの世界でありトップ選手の背負う責任です。
決めたことはもちろんですが、どんなメンタルがあればあの場面であんな難しいシュートを打つ選択ができるのか・・・
乗り越えるためにどれだけの努力を積み重ねればこうなれるのか、見当もつきません。
これが私の推し、辻直人です(^^)/
彼の活躍を見るのが今の私の楽しみです。


